トップインタビュー

※ 本項目は、2020年7月に実施したアナリスト・機関投資家向け説明会において「代表取締役社長 斎藤 悦郎」が説明した内容を、インタビュー形式で編集したものです。

Q1:中期経営計画基本方針

2020年7月に公表した中期経営計画方針において、従来の「重点テーマの推進」に加え、「コロナと共生する新たな時代への対応」が加わりました。この背景を聞かせてください。

A1:

新型コロナウイルスの感染拡大(以下、新型コロナ)によって社会・経済のあり方が大きく変わりつつある状況を踏まえ、従来から取り組んでいる「重点テーマの推進」と今回追加した「新たな時代への対応」を両輪として、企業理念「-共に未来を生きる-」を実践し、Sustainability経営を推進していくことを、改めて明確化しました。

新型コロナによって、サプライチェーンの混乱があらゆる産業・地域で起こり、当社の中国工場でも稼働率が大幅に低下しました。当社では、これまでも工場間のフレキシブルな生産機種移行などを進めていますが、BCM(事業継続マネジメント)に強い体制構築をさらに加速していきます。

一方、空調機に対する清潔・除菌といったニーズや、遠隔監視、非接触、AI・IoT推進の必要性がさらに高まると予想され、当社にとってのビジネスチャンスが改めて認識されたという面もあります。

また、新型コロナに限らず、想定外の事態が今後も発生し得るという心構えで企業を経営していくことが必要です。そのためにも、中長期的な観点を重視し、持続可能な社会実現に貢献していくことがますます重要となってきます。幸い、当社の事業は、いずれも人々の快適・安心・安全を支える製品・サービスであり、今後も、本業を通じて持続可能な社会実現に貢献していきます。

中期経営計画基本方針(「重点テーマの推進」と「コロナと共生する新たな時代への対応」を両輪として、企業理念「-共に未来を生きる-」を実践し、Sustainability経営を推進していく)の説明図

Q2:中期経営計画の達成目標

中期経営計画における売上高、営業利益の達成目標を見直した理由を聞かせてください。

A2:

新型コロナの影響と各地域の状況を考慮し、2022年度の計画を売上高3,300億円(従来計画は4,000億円)、営業利益260億円(同400億円)、営業利益率7.9%(同10.0%)に変更しました。主力事業の空調機において、新型コロナで一時的に落ち込んだ需要が2020年度下期から段階的に回復すると想定していますが、力強い成長に向かうには、いま暫く時間が必要と思われることなどが、見直しの主な理由です。

ただし、従来から掲げている重点テーマの各施策は、新型コロナにあっても変えていません。2019年度は、第3四半期に新型コロナの影響を大きく受けたものの、第3四半期までは売上高・営業利益とも高い伸長率で順調に推移していました。2019年度の売上高・営業利益が年間で増収増益を確保できたのは、新型コロナのマイナス影響を中期経営計画の進展によるプラス効果が上回った結果であり、私たちが進めてきた方針が正しかったことを証明していると考えています。

売上高、営業利益 (営業利益率)の実績、期初予想、修正計画の数値
注1:
2019年4月に公表した2019年度業績予測
注2:
2019年4月に公表した中期経営計画
注3:
2020年7月に公表した修正計画。なお、2020年度の計画については、2020年10月に売上高2,800億円、営業利益190億円(営業利益率6.8%)へ 上方修正しています。

Q3:空調機ビジネスモデルの構築

空調機ビジネスモデルの構築について、進捗状況を聞かせてください。

A3:

この数年間で、当社の事業領域は大きく拡大してきました。

ハードビジネスについては、自社の商品開発力強化と欧米の提携企業との協業によって、主にコマーシャル向けラインアップが大きく拡大しました(下図「拡大(1)」)。ソリューションビジネスについても、M&Aによって子会社化したインドのABS社、オーストラリアのPAG社が業績に貢献し、当初に見込んでいた以上に当社の既存ビジネスとのシナジー効果も出てきています(下図「拡大(2)」)。

これらに加え、新たな価値創造においても、ウェアラブル型の冷却装置「Cómodo gear™」を製品化し、2020年夏から試験的に提供を開始しました。社外から予想以上の大きな反響・期待が寄せられ、2021年の本格投入に向けて新機種開発を進めています。

ビジネスモデルの構築イメージ

Q4:提携パートナーとの連携強化

空調機ビジネスにおける提携パートナーである米国Rheem社、フランスAtlantic社、イタリアG.I.Holding社とは、どのような分野で協業し、どのような効果があるのでしょうか?

A4:

いずれの会社も、現時点、そして将来にわたって重要となるパートナーです。

まず、米国のRheem社とは、当社との共同開発の第一弾となるマルチポジションダクトを2020年8月から販売開始しています。Rheem社の持つ北米式ユニタリーの技術と当社の持つインバーターヒートポンプ技術を融合した製品であり、受注も順調に拡大しています。

フランスのAtlantic社は、当社製品の代理店として30年にわたるビジネスパートナーであり、ATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)の共同開発も10年にわたり実施しています。現在も、同社の技術者が当社・川崎本社に駐在し、新たな共同開発を進めています。

イタリアのG.I.Holding社とは、AHU(エアハンドリングユニット)やチラーの分野において共同開発を実施しており、同社と共同開発した製品は、欧州のみならず、今後、オーストラリアや中東にも投入していく計画です。

提携パートナー各社との連携を通じた製品ラインアップの拡充は着実に進展しており、今後の機器販売の拡大への貢献が期待できます。また、各社が現在主力としている商品は、ガス等の化石燃料を使用した暖房・給湯機器であり、当社の持つヒートポンプ技術を活用した共同開発の拡大により、高効率な再生可能エネルギーを活用した商品として、Sustainability経営で掲げる温暖化対策への貢献につながる事業であり、積極的な取り組みを加速させます。

ユニタリー(北米)

Rheem社(米国)との共同開発

ユニタリーイメージ図
  • 2016年より商品の相互供給を開始
  • 米国式空調と当社の省エネ技術を融合した、新たな商品を2020年8月に発売予定

ATW(欧州)

Atlantic社(フランス)との共同開発

  • 30年にわたり提携関係(当社空調機の販売代理店)
  • ヒートポンプ式温水暖房システムを共同開発

AHU・チラー(欧州)

G.I.Holding社(イタリア)との共同開発

AHU・チラーイメージ図
  • AHU熱源として当社VRF室外機を組み合わせた製品を発売中
  • 小型インバータチラーを共同開発中
  • 豪州・中東地域にも展開拡大予定

Q5:空調システムのライフサイクル全般にわたるソリューション提供

空調機ビジネスモデルの構築によって、お客様に提供する価値はどのように変わるのでしょうか?

A5:

空調機ビジネスモデルの構築によって、特にコマーシャルビジネスにおいては、現状の機器製造・販売だけでなく、空調の設備設計、据え付け・施工、運用・メンテナンスといった領域でもお客様にソリューションを提供することができるようになります。2020年度には新たなクラウドプラットフォームを導入予定であり、今後、故障予知や遠隔監視などのサービスメニューを拡充し、お客様の空調ライフサイクル全般にわたるベストソリューションの提供を目指します。

空調システムのライフサイクル全般にわたるソリューション提供の図

Q6:空調機開発体制の革新

空調機開発においては、どのようなテーマに取り組んでいくのでしょうか?

A6:

各開発拠点における体制強化や人材育成などに引き続き取り組むとともに、新たに取り組みを強化しているテーマがあります。

まずは、中期経営計画の基本方針にも追加した新型コロナとの共生を踏まえ、清潔・除菌・非接触・遠隔コントロール等のビジネスモデルを追求していきます。既に国内向けのエアコンでは、当社独自機能である「熱交換器加熱除菌」機能をほぼ全モデルに搭載し、脱臭機プラズィオンへの展開強化も検討中です。海外向けでは、業務用のクラウドプラットフォームを2020年度に提供予定であり、遠隔監視等の新型コロナ対策に加え、空調システムを利用されるお客様にとって新たな価値を生み出し、当社にとっても、サービスを含めた大きな生産性向上が期待されます。

また、感性とユーザビリティを重視した製品開発を進めており、世界的に権威あるデザイン賞を受賞する製品も増えつつあります。 これらに加え、PLE(注1)、PLM(注2)、CAE(注3)などAI・IoT技術の活用による設計効率・生産性の向上を進め、多様化するニーズと複雑化する空調システムへの対応力を強化していきます。

注1 PLE:
プロダクトライン開発
注2 PLM:
製品ライフサイクル管理
注3 CAE:
コンピュータシミュレーション

1. 開発体制の強化

1-1. 3極(日本、タイ、中国)+2体制(欧州、北米)の強化

1-2. リソースの再配分:新/省冷媒、AI・IoT、業務用、重点地域に注力

1-3. Withコロナ:清潔・除菌、非接触、遠隔コントロール

1-4. 感性とユーザビリティ重視の製品開発

2. 人的ポテンシャルを最大限に引き出すための組織への転換

2-1. 業務プロセス強化

2-1-1. ベースデザインの推進、標準化設計の展開と拡大

2-1-2. PLE、PLM、CAE活用拡大による設計効率、生産性向上の推進

2-2. 人材育成

2-2-1. インパクトメソッドの展開:組織マネジメント力・組織行動力強化

2-2-2. 空調機技術アカデミー:計画的人材育成、人間塾の展開

2-3. 設備強化

2-3-1. 体感人体モデルの研究・実証、タイ試験センターの段階的立ち上げ

※ 1-3, 1-4, 2-1-2は新たな強化テーマ

Q7:空調機営業活動の強化

従前から進めている「5大拡大プロジェクト」の進捗状況と2022年度の売上目標を聞かせてください。

A7:

5大拡大プロジェクト、重点市場における戦略のイメージ図

5大拡大プロジェクトについては、既存ビジネスにおける「海外コマーシャルビジネスの拡大」「国内住設ルートの積極攻略」はともに順調に進展しており、どちらも売上高に占める構成比は着実に拡大しています。

新規ビジネスでは、「北米ビジネス拡大」と「提携ビジネスの推進」は、「提携パートナーとの連携強化」でご説明したとおり、概ね計画どおり進展しています。

「インド市場の攻略・拡大」は、直販体制への移行に時間を要しましたが、中長期的に高い需要拡大が見込まれるインドが、北米と並び最重点市場であることに変わりはありません。直販化による新たな販売施策や現地ニーズに適合した新機種投入は、現地ディーラーの方々からも高い評価を得ており、当社のブランド力を活かして、2020年度以降の挽回・成長を計画しています。

空調機売上高(既存・新規別)グラフの図

※ 本計画は2020年7月公表時点

これらを踏まえ、空調機の売上高は、2019年度の実績2,301億円に対して2022年度に3,000億円、3年間で30%、年平均では9%の伸長を計画しています。

このうち、既存ビジネスの売上高は、新型コロナの影響などを考慮し、2019年度の実績2,115億円に対して、2022年度に2,370億円、年平均4%の伸長を計画しています。

一方、当社が新規ビジネスと位置付けている地域・分野での売上高は、2019年度の実績186億円に対して、2022年度に630億円、年平均50%の伸長で拡大させていく計画です。この拡大を牽引するのは、新規ビジネスの売上増加分の約70%を占めるインド向けの販売拡大です。インド以外では、米国のRheem社との協業による販売増、イタリアにおける事業再編など新規事業の拡大が見込めると考えています。

Q8:情報通信・電子デバイスのビジネス基盤の強化

情報通信システム、電子デバイスの売上目標とビジネス基盤の強化策を聞かせてください。

A8:

情報通信、電子デバイスの売上高の図

※ 本計画は2020年7月公表時点

情報通信システムでは、2022年度に売上高200億円を計画しています。

主力である消防・防災システムの豊富な稼働資産と強固な顧客リレーションシップを活かし、ストックビジネスを展開していきます。また、次期消防デジタル無線の開発を進めており、本格的な商談活発化に向けた準備も着実に進展しています。

民需ビジネスに関しては、新型コロナの影響により外食ビジネスは厳しい状況にありますが、当社がこれまで培ったノウハウを活かせるBPO(※)ビジネスを立ち上げ、お客様の課題解決を支援していきます。

電子デバイスでは、2022年度に売上高100億円を計画しています。2020年度は、新型コロナの影響で自動車関連の需要が急減し、車載カメラが特に厳しい状況にありますが、今後、中国・蘇州の子会社を核とした「中国ビジネスのさらなる拡大」、ユニット製造を中心とした「新規顧客開拓の推進」によって挽回を図ります。さらに、独自技術を活かした商品開発を進めており、将来の柱となる新規ビジネスの立ち上げを目指します。

Business Process Outsourcing の略/自社の業務プロセスの一部を外部の専門的な企業に継続的に委託すること。

Q9:Sustainability 持続可能な社会実現への貢献

最後に、「Sustainability 持続可能な社会実現」に富士通ゼネラルグループがどのように貢献していくのでしょうか?

A9:

Sustainabilityを中心にした現在の事業のイメージ図

上記のイメージ図は、Sustainabilityを中心にした、現在の当社グループの事業を表しています。FUJITSU GENERAL Wayを事業運営の基盤とし、「持続可能な消費・気候変動対策・環境保護活動」を通じたPlanet(地球や自然)との共存、「Innovation、安心して住み続けられるまちづくり、責任ある調達活動、地域社会貢献」によるSociety(社会)への貢献、「健康に働ける職場づくり、自発的な人材の育成、互いを思い活かす職場環境、誠実で持続的に成長する事業活動」によるOur People(社員)との共感を表しています。

このように、私たちの事業活動は既にSustainabilityなしに語ることができず、社会的要請だから何か新しいことを始めるということではありません。私たちは、当社グループの存在意義としてこれからもイノベーションを創出し、本業を通じて持続可能な社会実現に貢献していきます。

地球

地球温暖化対策への貢献

省エネ商品開発、化石燃料から再生可能エネへ転換促進

循環型社会への貢献

家電リサイクル事業の推進、省資源化設計

社会

イノベーションの創出

暑さ対策等、社会的課題の解決に向けて

清潔・安全な空間の提供

「熱交換器加熱除菌」強化、非接触、遠隔監視等

社員

健康経営の推進強化

健康経営1.0 → 健康経営2.0、外部発信強化・家族への支援

コロナに対応した柔軟な働き方の確保

在宅勤務制度定着、ワークフローシステム導入

関連情報(リンク)

統合報告書