• 2023年2月28日
  • 株式会社富士通ゼネラル
  • エアロシールド株式会社
  • 東京都市大学

窓開け換気を「AERO SHIELD」に置き換えた場合の
消費電力量削減効果について

当社とエアロシールド株式会社(当社子会社)は、東京都市大学 永野秀明准教授と共同で、窓開け換気を紫外線水平照射技術「n-UV技術」を搭載した「AERO SHIELD」に置き換えて空気環境対策を実施した場合の、消費電力量削減効果を算出するシミュレーション研究を実施しました。結果を以下の通りお知らせします。

  1. n-UV技術を搭載した「AERO SHIELD」は、窓を縦1m×横0.5m開けて換気した場合と同等の浮遊菌抑制性能を有している。
  2. 窓開けによる換気をn-UV技術を搭載した「AERO SHIELD」に置き換えることで、エアコン暖房期間の消費電力量を約40%削減できる。

図1: 各空気環境対策方法におけるエアコン暖房期間消費電力量の比較

暖房期間消費電力量の比較グラフ

部屋の広さ50m³、暖房機器:エアコン(AS-C402M-W)
暖房期間: JIS C 9612の東京モデル(11月8日~4月16日、6時~24時の18時間)
窓開け換気: 開口寸法1m×0.5m、AERO SHIELD:UKP18

当社は、サステナブル経営の「社会への貢献」における重点テーマの1つに「健康・清潔・安全な社会、空間の提供」を掲げています。

昨今、物価高や電気料金高騰が進み、事業者の節約や節電に対する意識は日増しに高まっています。そのような中、「AERO SHIELD」は浮遊菌抑制性能に加えて、省エネ性や快適性の観点からも、世界の空気環境対策へ貢献していきます 。

【n-UV技術】nucleotide cut Ultraviolet(核酸カット紫外線技術)

「n-UV技術」は、室内の浮遊ウイルスや細菌を抑制する事を目的に、エアロシールド社が開発した独自の空気環境対策技術です。ウイルスや細菌の核酸(DNA/RNA)に直接ダメージを与えることで知られる紫外線(波長: 254nm)を、効率よく前面に反射させる『紫外線専用反射板』および、紫外線の下方照射を防止する『水平ルーバー』の構造により、室内空間上部への水平照射を可能とし、有人空間で人に影響を与えず浮遊ウイルスや細菌を抑制する点が特長です。

【n-UV技術】nucleotide cut Ultraviolet(核酸カット紫外線技術)水平照射・水平ルーバー・紫外線ランプ・紫外線専用反射板のイメージ

試験方法と結果概要

方法

1. 「AERO SHIELD」による浮遊菌抑制性能が同等となる、窓開け換気寸法算出

「AERO SHIELD(UKP18)」を用いてJEMA1464に準拠した浮遊菌抑制試験結果(注1)から、流体(コード:Fluent)/光学(コード:RADIANCE)シミュレーションを用いて50㎥(約5.4×3.8×2.5m:以下、モデルルーム)における、浮遊菌抑制性能の相当換気量(㎥/h)を算出する。その後、モデルルームの単一開口の窓の高さを1mと固定し、エアコンの暖房期間での室内20℃/室外7℃(JIS C 9612)の温度条件における、窓開け換気開口寸法を算出する。

2. 窓開け換気を「AERO SHIELD」に置換えた場合の暖房期間の消費電力量の算出

モデルルームにおける、東京地区を想定した室外温度と発生時間(11月8日~4月16日、6時~24時の18時間)の関係性を用いて、ベースとなる建物の空調負荷を算出する。窓開け換気の空調負荷は、先に算出した開口寸法を元に開口面の上部と下部で生じる圧力差の関係式を用いて算出し、「AERO SHIELD」負荷は機器の消費電力とした。その後、ベースの建物負荷と、それぞれの負荷(窓開け換気負荷と「AERO SHIELD」負荷)の和を打ち消すための暖房を当社のエアコン(AS-C402M-W)で実施した時の、消費電力量を算出した。

結果

1. 「AERO SHIELD」による浮遊菌抑制性能が同等となる、窓開け換気寸法

AERO SHIELD≒1m×0.5mの窓開け換気量と同等。

2. 窓開け換気を「AERO SHIELD」に置換えた時の暖房期間の消費電力量の算出

窓開け換気をAERO SHIELDに変更すると、モデルルームの暖房期間の消費電力量を約40%削減。

また、本結果をもとに消費電力量を電気料金に換算すると以下の結果となる。

暖房機器 空気環境対策 暖房期間消費電力量(kWh) 参考:電気代(円)
エアコン 窓開け換気 1,726 53,512
エアコン AERO SHIELD 1,043 32,333
差分 -683 -21,179
電力料金目安単価31円/kWh(税込み)[令和4年7月改定]で計算。

なお、本検証結果はシミュレーション結果であり、実使用条件における効果を保証するものではありません。

また、建築基準法により、建物には24時間(常時)換気が可能な設備の設置が義務化されています。本検証結果は機械換気の置き換えを推奨するものではありません。

注1:
【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験条件】25㎥チャンパー(密閉空間)内に浮遊菌を浮遊させ、UKP18を動作。経時的にチャンパー内の空気を採取し、菌数を測定。【試験結果】[浮遊菌]9分で99%減少(【報告書NO】北生発2021_0463号)
ご参考 窓開け換気に対する意識調査

同校学生へ「窓開け換気に対する意識調査」を実施しました。その結果、教室における窓開け換気の実施率は70%と高い一方、電気料金に対する不安や、寒さによる不快感、騒音など、デメリットを感じている人も多いことが分かりました。また、「換気を実施してほしい反面、真夏や真冬は温度調整をしないと体調を崩しかねない。時と場合に応じた対策を希望する」という声も挙げられています。

教育現場においては、窓開けによる換気を紫外線照射装置などに置き換えることで、消費電力量の抑制に加え、よりよい学習環境の提供が期待できます。

図2: 教室における窓開け換気の実施率

実施されている70%、実施されていない13%、わからない17%

図3: 教室での窓開け換気のデメリット

虫や花粉が入り不快3.9pt、騒音/音漏れで不快4.6pt、寒くて不快4.8pt、暖房が効かず電気代心配4.9pt、その他1.6pt

デメリットが大きい順に5, 4, 3, 2, 1点を付与し、平均した

調査概要

【調査タイトル】学生の窓開け換気に対する意識調査

  • 調査方法: WEBアンケート調査
  • 調査対象: 東京都市大学 機械システム工学科 所属学生
  • 有効回答: 55件
  • 調査期間: 2023年1月13~24日